恋する5.7.5(フィクション)

「会いたいな、会いたくないな、会いたいな」

 

う〜ん、完璧。完璧な5.7.5だ。会いたい気持ちと会いたくない気持ちが交錯する恋する女の子っぽさも出ている。これは入賞間違いなしかな!お〜いお茶のペットボトルに載っちゃうかも。ふふ。

 

冷蔵庫からキンキンに冷えたウィルキンソンのレモンを取り出して半分くらいまで一気に飲む。炭酸の小さな泡が喉に当たってビリビリする。くう〜〜っ!炭酸のジュースはあまり得意ではないけどウィルキンソンのレモンだけは大好き。前の彼氏にその話をしたら、は?コーラが一番に決まってんだろ、と笑われた。あたしはコーラ嫌いだけど、とは言わなかった。その1週間後に別れたし。

 

コーラのなんとなく薬っぽい味について考えていると、iPhoneが鳴った。ベッドに投げてあったそれに飛びつくと、表示されていたのは今いいかんじの会社の先輩。お疲れ!今日はクッキーありがとう。う〜ん、好き。無駄に絵文字とかがないところも好き。オトナってかんじ!あんまりすぐ返信するのも待ってたと思われるかもしれないからちょっと放置してから返そう。先週、仕事でちょっとしたミスをしてお局に小言を言われていたところに先輩がきてフォローしてくれた。神様かと思った。先輩はイケメンだし仕事ができるし人柄もいい。お局も先輩のことお気に入りだからすぐ解放してくれた。クッキーはそのお礼ってワケ。いや〜あのクッキー有名店ので並んでも買えないこと多いって聞いてたけど運良く買えてよかったな。

 

15分経ったところで先輩に返事を書く。お疲れ様です!こちらこそこの間はありがとうございました…ここってハートとか付けたほうがいいのかな。いやでもそれはちょっとやりすぎ?バカ女って思われたくないし、、

 

結局10分くらいかけて返信をした。あ〜〜!たのしい!どきどきする!誰かのことが気になってるときの心臓は、ひらがなのどきどきだと思う。デパートで新しい服や靴やバッグ、コスメを見ているときはカタカナのドキドキ。どきどきはゆっくりなにかが進んでいくかんじ。好きな気持ち。やわらくてふんわりしたものでいっぱいになる気がする。

 

会いたいな、会いたくないな、会いたいな

 

チラシの裏に走り書きした短歌が、突然すごく意味のあるものに見えてきた。明日、先輩にご飯行きましょうって誘ってみよっと。